日本語教師はやめたほうがいい? 現役日本語教師が業界の現状を解説

日本語教育

外国人に日本語や日本文化を教える日本語教師。

日本語教師になれば、外国人と知り合いになれたり海外で働くもの夢じゃない。

そんな日本語教師に憧れて、日本語教師を目指そうとしている人も多いと思います。

しかし一方で、日本語教師のマイナスイメージを懸念する声も上がっています。

うんうん、お給料面とか職場環境とか、あと将来性も心配…実際どうなんだろう。

「このご時世だし、日本語教師になるのはやめたほうがいい!!」なんて声もあったりするとなお不安になりますよね?

そこで今回は、これまで海外でも日本語を教えた経験がある現役日本語教師が、どんな人が日本語教師に向いているのか、いないのかについて徹底解説したいと思います。

この記事を読めば、

  • 日本語教師として働きたいけど、ちゃんと食べていけるか将来が不安
  • 日本語教師のお給料事情ってどうなの?
  • 日本語教師ってどんな感じで働くの?
  • 日本語教師に向いているのはどんな人?

こんな疑問を解消することができます。

結論から申し上げると、「日本語教師をやめたほうがいいと思うかどうか」はその人次第だと思います。

ん?その人次第?

これからの人生をどのように生きたいのか、何を価値を見出すのか、どんなことに喜びを感じるのかなどによって、日本語教師に向いているかどうかは大きく違ってきます。

さて、みなさんは一体どちらでしょうか?

日本語教師になりたいけど、将来の不安と悩みを抱えている方、必見です!!

みなさんが日本語教師になって「こんなはずじゃなかった…」という悲しい思いをしないよう、現役日本語教師の私が、日本語教育業界の現状を客観的にお伝えします!!

日本語教師はどこで働ける?

「日本語教師はやめたほうがいいか」を考える前にまず、日本語教師が活躍できる場所についてざっと見てみます。

【日本語教師の主な職場・活躍場所】

  1. 日本国内の日本語学校
  2. 海外の日本語学校
  3. オンライン
  4. 民間企業
  5. 国内の大学
  6. 国内のインターナショナルスクール
  7. 海外の小・中・高・大学
  8. 地域の国際交流協会やボランティア団体など

日本語教師として活躍できる場所は多岐に渡りますが、就職難易度や職の安定性などを考えると、就職先として可能性が高いのが 1〜4(掛け持ちの場合もあり)でしょう。

逆に、5〜8は特別な資格が必要で応募条件が限られていたり、求人数が少なかったり、あるいは食べていくのに十分な収入が見込めない場合が多いと思います。

日本語教師の主な職場・働く場所については、また別記事で詳しくご説明します!

日本語教師、気になるお給料は?

日本語教師って薄給って言われるよね? 本当なのかな?

先ほど見た通り、日本語教師といっても働く場所が様々なので一概には言えませんが、お給料は一般企業に勤めた場合と比べて低いことが多いのが現状です。

国内の日本語学校の場合

日本語学校には専任(常勤)講師と非常勤講師がいて、それぞれ働き方や給与体系が違いますが、簡単にまとめるとこんな感じです。

【専任(常勤)講師】
正社員
保険適用あり
たいてい月収20万円程度〜

【非常勤講師】
非正社員
保険適用なし
時給制で、時給1500〜2000円程度

※お給料については、日本語教師の給料・収入・年収は?給料アップを目指す方法も紹介!|BrushUP学びを参考にしました。

なお、全員が専任講師になれるわけではなく、現状では専任講師として働いている人の方がずっと少ないです。

文化庁の調査によると、国内で日本語教師として働いている人の職別内訳は、

ボランティアによる者が24,745人(53.3%)と最も多く、以下、非常勤による者が15,031人(32.4%)、常勤による者が6,635人(14.3%)の順となっている。

令和元年度国内の日本語教育の概要

そうです。
つまり、日本国内で有給で日本語教師をしている人のうち、約7割が非常勤として働いているということです。

非常勤講師は時給制で保険に入れないこともあり、非常勤講師だけの収入で食べていくのは厳しいですし、職業としても不安定です。

でも、非常勤講師だったら空いた時間に他の仕事をしたり、オンラインで教えたりもできるから、自分の好きなように働けるっていうメリットもあるよね。
そういう風に自由に働けるっていう意味では魅力的かもね。

海外の日本語学校、大学の場合

海外でも渡航先や勤務先によってだいぶ違いがありますが、概して日本語教師が薄給なのは、日本とあまり変わらないと思います。

というのも、日本語学習者が多い地域は日本より物価が低いことが多く、それに伴ってお給料も低いからです。

現地で生活するのには困らない程度の収入が得られる場合がほとんどですが、渡航先よりも物価の高い日本に帰国すると、生活が苦しくなりかねないでしょう。

それから、海外で働く場合は渡航費やビザ取得費が自己負担だったりすることもあります。

でも例外もあって、私はアメリカで日本語教師をしていましたが、その時のお給料はむしろ日本のよりもいいくらいでした。
(私のケースはだいぶ稀だと思いますが…。)

今までの話をまとめると、国内外を問わず、日本語教師は薄給の傾向があるってことのようだね。
でも、仕事のやりがいは十分あるって聞いたよ!!

日本語教師ってかなりキツイ? 職の安定性は?

授業外での労働時間も含めると、長時間労働になりがち

日本語教師って、かなりキツイっていう噂を聞いたんだけど、実際どうなの?

日本語教師は授業中以外にも、授業準備や授業後の作業(テストの採点や宿題の丸つけなど)など、こなすべきことが山ほどあります。

なので、実際の労働時間はかなり長くなってしまうのが現状です。

私も、日本語教師になりたての頃は平日夜遅くまで、土日も朝から晩まで授業の準備をしていました。

でもだんだん慣れてくると、授業前準備の時間は短縮できるようになってきますが、それでもかかるだけの時間はかかります。

特に、質の良い授業にしていこうと工夫しだすと、いくらでも時間はかかります…笑

専任講師になると授業に関わることだけじゃなくて、学校の運営に関わること(学生管理やイベントの開催など)も任されるので、多忙の人が多いらしいね。

そうですね…時間をかけて授業準備したりイベントの企画を練ったりするのは骨が折れる作業です。

でも、教え子の日本語が上達したり楽しそうにイベントに参加してくれたりするのを見ると、それだけで「あぁ、頑張ってよかったな」という何にも変えられない充実感を得られます。

安定した職を得るのはなかなか難しい 

先ほどお伝えした通り、日本国内で有給で働く日本語教師のうち、約7割は非常勤として働いているというのが現状です。

専任講師になりたくてもなれないという人もたくさんいます。

日本語学校の非常勤は非正規雇用で、時給も決して高いとは言えないので、安定した収入は見込めない可能性が高いです。

一方で海外で働く場合は、勝手が違います。

勤務先によってだいぶ差がありますが、契約期間内は安定した職をもらえることが多いです。

ただ、契約期間が定められていることもあり、その意味では安定していないとも言えます。

ちなみに、私が海外で日本語教師をしていた時は1年毎の契約でした。

まとめ ーどんな人が日本語教師に向いている?ー

これまで日本語教師のマイナスな面ばかりお伝えしてしまいましたが、日本語教師はやりがいも夢もたっぷりある魅力的な仕事です。

日本語教師のやりがいや魅力については、また別の記事でたっぷりとお伝えします。

日本語教師に向いていれば、上記のマイナス面を乗り越えて日本語教師としてイキイキと活躍できることは、間違いないでしょう。

実際、私の周りにも日本語教師の仕事を楽しんで国内外で仕事をしている人はたくさんいます。

そうなんだね…じゃぁ実際、どんな人が日本語教師に向いているんだろう?
あっでもその前に、これまでの話を簡単にまとめてくれるかな?
全部つーっと抜けていってしまった…笑

あららら…笑
まず、日本語教師はこんな場所で活躍できるという話をしました。

【日本語教師の主な職場・活躍場所】

  1. 日本国内の日本語学校
  2. 海外の日本語学校
  3. オンライン
  4. 民間企業
  5. 国内の大学
  6. 国内のインターナショナルスクール
  7. 海外の小・中・高・大学
  8. 地域の国際交流協会やボランティア団体など

それで、収入面や就職難易度から考えると、上の1〜4が最も可能性のある職場だとお話ししました。

それから、国内外を問わず、日本語学校での日本語教師はお給料面、職の安定という点で厳しいところもあるのが現状でした。

【日本国内の日本語学校】
専任(常勤)講師の人数 < 非常勤講師の人数 
専任講師になりたくてもなれないことも
非常勤講師は保険手当がなく、お給料も時給制 
非常勤講師としてだけで食べていくのは厳しい

【海外の日本語教育機関】
生活に困らないだけのお給料をもらえる
(ただ、渡航費やビザ取得費は自己負担の場合もあり)
物価が低い国での求人が多いが、その場合帰国した際に生活が苦しくなり得る
契約期間が定められているところも多く、その場合職が安定しているとは言い難い

【日本語教師の労働時間】
授業中だけでなく、授業準備や授業後など授業外でも作業は多いので、労働時間は長くなりがち。
新人の頃は、休日返上で働く人も少なくない。

このように書くと、日本語教師っていいことないじゃん!!って思われるかもしれませんね笑

でも、頑張った分だけ充実感という見返りがたっぷり返ってくることが多いという意味で、やりがいのある仕事です。

まとめてくれてありがとう〜!!
ふぅ〜やっとなんとなくイメージがつかめたよ笑

これらの点を踏まえて上で、今回は特に働き方や生き方の価値観の観点から「向いている人、あまり向いていない人」をまとめます。

日本語教師に向いている人

日本語教師には、こんな人が向いているでしょう。

  • 職は安定しなくても、自分のペースでゆっくり働きたい人
  • 海外で働きたい人
  • お金よりもやりがいのある仕事をしたい人
  • 一生働いていたい人

今までの話をまとめると、「こんな人が向いている」って言えるんだね。

「向いている人」の特徴や適性は他にもたくさんあります。

それについては、また別記事でお話ししますね♪

日本語教師にはあまり向いていない人

一方でこのような考え、価値観の人には日本語教師にはあまり向いていないかもしれません。

  • 効率よくお金を稼ぎたい人
  • 安定した職に就きたい人
  • 残業をしたり休日に仕事をしたりなど、勤務時間外に仕事をしたくない人
  • カレンダー通りの休みがほしい人

このような人は、日本語教師じゃなくて他のフィールドで働いた方が、自分にあった働き方ができそうだね。

みなさん、いかがでしょうか?

今回は、私が日本語教師として働いた経験を踏まえて、以上の内容をお伝えしました。

日本語教師は人の人生に潤いと自信を与えられるような、魅力的な仕事です。

しかしその一方で、お分かりのように厳しい現実もあります。

私は皆さんが新たな仕事に挑戦して「こんなはずじゃなかった」という思いをしないよう、今回は上記のような内容をお伝えしました。

以上でお伝えした内容は日本語教師のほんの一面です。

日本語教師のやりがいや魅力、将来性などについても今後どんどんお伝えしていきますので、そちらもどうぞ読んでいただけたら嬉しいです。

みなさんが自分にあった仕事を見つけられるよう、心から応援しているよ。

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