【現役博士院生が語る】博士課程はやめとけと言われるワケ

大学院生活

博士進学を迷っている修士学生の皆さん、

博士に進学しようかどうか迷っている
博士に進学したいけど、実態がわからなくて不安
博士進学と就職、どっちにしようか決められない

こんなお悩みありませんか?

博士課程の情報ってほとんど出回ってないですし、博士進学についてはかなり迷いますよね。

現在博士院生の私も、修士から博士に進学する時はかなり迷いました!

…と言いたいところですが、私の場合なぜか深く考えずに博士に進んでしまったんですよね。

だから今、その時もっともっとちゃんと考えておけばよかったと非常に後悔しております。

そこで今回は、現役博士院生の私が「博士はやめといた方がいい理由」と、本当に博士に向いている人について解説します。

博士への進学を迷っている方は、文理を問わず参考になるはずだよ!

まず本題に入る前に、簡単に自己紹介をします。

【筆者”komo”のプロフィール】
有名私大大学院に通う博士院生(D3)
専攻:人文系
博士進学を深く後悔
退学を見据えて休学中
密かに就活と副業中の「仮面博士」

専攻は文系だけど、博士全般に当てはまることについて書くよ!
是非最後まで読んでね♪

少しでも迷いがあるなら「博士過程はやめとけ」の6つの理由

私はこれまで3年間博士課程を続けてきて、博士は相当な覚悟を持って進むべきだと実感しています。

博士課程に進学する!と意気込んでいる方にも、「本当に大丈夫?」と伝えたいです。

そう考える理由は、主に以下の6つです。

【博士進学が「やめとけ」と言われる6つの理由】

  • 博士号取得までの経済的負担が大きい 社会的にも肩身が狭い
  • 博士号を取得しても教授になれるのはほんの一握り
  • ポスドクの期間は生活が不安定 40歳になって常勤になれないことも
  • 少子化で大学が淘汰される
  • 博士号を取得しても就職に有利にはならないことが多い(文系は不利)
  • 本当に研究が好きでないと、精神がもたない

以下で1つずつ詳しく説明します!

理由その1. 博士号取得までの経済的負担が大きい 社会的にも肩身が狭い

博士課程の標準修業年数は一般に3年とされています。

しかし、3年で博士号を取れる人はかなり少なく、ほとんどの人は4-5年かかって卒業します。

特に文系の人は長くかかる傾向にあるみたいだね。
知り合いの先輩は、10年かかってやっと修了したって聞いたよ。

卒業までに年数がかかるということは、その分経済的負担も大きくなるということですね、ふぅ…

私は私立の大学院に通っていますが、3年間で卒業できたとしても計200万以上かかります。

奨学金制度もありますが、審査が厳しかったり狭き門だったりするため、採用されるのが難しい場合が多いです。

悲しいことに、日本は国として大学院生を支援する制度が整っていないんだよね。

このような経済的負担で、厳しい生活を強いられる大学院生は少なくありません。

私は実家通いなのでなんとかなりましたが、友達は経済的な理由で困ってました。

それから、博士院生は社会的にも厳しい立場に置かれるって?

そう、そうなんです。
もう働いていてもいい年齢で一人前にお金を稼いでいないことに、肩身の狭い思いをします。

例えば高校や大学の友達での同窓会、親戚の集まりなどで、まだ正規で働いていなかったり働く見込みが立っていなかったりすることに、焦りや不安、居心地の悪さをこれまで何度感じたことでしょう…

感じ方は人によるかもしれませんが、経済的な理由で友達とご飯に行けなかったり、同年代で仕事に就いていないのが自分だけだったりするのは、想像以上にキツイです。

理由その2. ポスドクの期間は生活が不安定 40歳になって常勤になれないことも

博士号を取得したからといって、すぐに研究者として安定した職につけるわけではありません。

むしろ、ほとんどの場合なれません

まずはポスドクとして大学の非常勤講師を掛け持ちしたり、非正規の研究員になったりして生計を立てます。

その間は、月収20万円にも満たない苦しい生活を強いられる人も大勢います。

それに加え、将来に対する不安、常勤のポストを得るために論文を書いたり発表をしたりして実績を積まなければという重圧で精神的にもキツくなります

大学のポストはそんなに簡単に空くわけではないですし、空いたとしても難関です。

たった1つのポストを狙っているライバルは大勢いますからね。

それからこれは裏話ですが、大学側は「公募」という形をとっておきながら、実はもうなり手が決まっているということもあるそうです。

えぇ、ひどい!! じゃぁどんなに実績積んでもその努力が報われないこともあるってことだね…。

そうしてポストが空くのを待ち続けているうちに、40代に突入してしまう人も少なくないのが現実です。

理由その3. 博士号を取得しても教授になれるのはほんの一握り

上でも書きましたが、博士号を持っていても教授になれるのはほんの一握りです。

まず、非常勤から昇格して助手や助教などの常勤職のポストを得るのが第一関門。

その後、一般に助手→助教→講師→准教授→教授とステップアップしていきますが、道のりはそう簡単ではありません。

もともとアカデミアの世界って優秀な人材が集まってるもんね。

そうそう、周りは優秀な人ばかりなのでその中での競争は過酷です。

それから、昇格するには自分の研究を進めてそれなりの実績を残す必要があり、不断の努力が必要不可欠です。

授業を持ったり会議に参加したりなどしながら研究することになるので、かなり多忙な毎日になるでしょう。

実際、教授になってからもとても忙しそうで、夜遅くまで仕事をしたり土日も働いている先生も少なくないと思います。

理由その4. 少子化で大学が淘汰され、その分教員数も減る

少子化が進む中、大学が定員割れする事態がすでに起きているんだってね。

そうなんです。

日本私立学校振興・共済事業団が行った2021年度の私立大学・短期大学等入試志願動向では、定員割れの4年生私立大学は4割を超えたとしています

こういった状況は今後も深刻化していくと考えられ、志願者数の少ない大学は淘汰されたり規模を縮小したりするでしょう。

そうなると、大学側は教員の採用を抑えたり常勤ではなく非常勤、または任期付きの採用を増やしたりします。

これは私の指導教員から聞いた話ですが、昔に比べて若手のポジションは任期付きのものが増えてきているようです。

ポスドクがアカデミアの世界で常勤の職を得るのは今でも大変なのに、これからもっと競争が激化していきそうだね…

理由その5. 博士号を取っても就職に有利にならないことが多い(文系は不利)

日本の社会では、博士号はあまり評価されません。

日本は「新卒」であることを重要視する傾向があるから、学部卒から少なくとも5年以上経った博士卒の人材は、採用を躊躇されがちなんだよね。

理系ではその専門性を活かして民間企業に就職できることもありますが、「新卒採用」や「ポテンシャル採用」ではなく、中途採用枠での応募がほとんどで、高度な知識と技術が求められます。

一方、文系の場合は専門性を民間企業で活かせることが少なく、博士号取得者の民間企業への就職はかなり厳しいです。

博士号を取得していても社会経験が少ないし、会社で使えるスキルや知識が乏しいと見られがちなんだよね。

実際私も博士在学中に就活をしましたが、応募できる業種や業界が限られました。

理由その6. 本当に研究が好きでないと、精神がもたない

博士課程の進学を迷っている方は、研究を続けたいと強く思われているのだと思いますが、博士号の取得は修士号よりも何倍もハードルが高いです。

これについては私もある程度覚悟していましたが、想像以上でした。

博士論文を書いて審査に通す能力や研究能力という知的な意味ももちろんありますが、私が痛感しているのはモチベーション面の大変さです。

博士課程に所属していると、色々と大変なことに見舞われるよね。

例えば、

  • 忙しすぎる毎日で慢性的な睡眠不足
  • 教授からの大量の雑用の押し付け 断れない
  • お金がない
  • 学会での辛口すぎるコメント
  • 教授からの辛口すぎるコメント
  • 将来への不安と社会的な肩身の狭さ

会社員をしていても大変なことはもちろんあるけど、博士の場合は将来が保証されないし、お給料ももらえないもんね。

こんなに大変な思いをしているのに、いいことあるのだろうかという気持ちになってきます。

なので、こうしたストレスが溜まってくると、よっぽど研究が好きでないとモチベーションが下がってきます。

実際、私が博士中退を決意した最も大きな理由がこれです。

絶対やりたいわけではないと思えてきてしまった研究を続けて意味があるのだろうか(指導教員の先生、こんな言い方してごめんなさい)…

こう考えてしまい、研究のモチベーションが保てなくなりました。

そのうちに研究すると心が不調になるようになってしまい、強制終了させました。

本当に博士に向いている人とは?

じゃぁ、本当に博士に向いている人ってどんな人なんだろう…
今博士進学を前向きに考えている人の中にいるはずだよね?

本当に博士に向いている人とは、「研究したくてたまらない人」まさにこれだと思います。

例えば韓国ドラマが大好きで、韓国ドラマやアイドルの沼にはまっている人は、

  • 次期韓国ドラマには誰が出るの?
  • 大好きなあの人が着ていた服はどこのブランド?
  • この間テレビに出ていたあの新人はだれ?

こんな感じで韓国ドラマやアイドルについて知識を貪欲に取り入れ、時には現地にも足を運び、常に最新の情報を更新し続けていますよね?

誰が止めても抑えられないような好奇心と情熱で、どんな困難があろうとも自らの力でそれを乗り越えるようと全力で奮闘しているよね。

このようなある物事に対する情熱については、研究職でも同じことが言えるでしょう。

歴史に残る偉大な研究は、そのほとんどが知的好奇心の強さと研究への情熱から生まれたものだと思いませんか?

そのような人は、上述した博士課程での困難もそれほど困難と思わずに乗り越えられるはずです。

逆に、これについてもっと知りたい!と熱狂できる研究対象がない人には、博士号取得やその後の研究生活がハードなものになりかねないと思います。

なので、博士進学を迷っている皆さんは、自分が研究したいと思っている内容が自分が熱狂できるものかどうか、自分に聞いてみてください。

その答えに、あなたの進むべき道が表れているはずです。

まとめ:博士進学は慎重に いずれにしろ、後悔しない選択を

現役博士院生の私から、「博士進学は慎重に」とお伝えしました。

博士課程の大変さは入学後に経験して初めて痛感しましたが、入学前にこの実態を知っていればもう少し進学について考えたかなと思っています。

そこでこの経験を皆さんに共有したいと思い、書きました。

今回は博士進学の大変さを強調しましたが、決して「博士進学はやめろ」と言っているわけではありません。

あくまで進学するか否かを決める上での1つの指標にしていただけたら、と思います。

一度きりしかない人生を後悔なく充実させられるよう、ご自分の真の声と相談してみてください。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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