大学院に進学するメリットって? 社会人経験ありの文系院生が徹底解説

大学院に進学するメリットとは?現役院生が徹底解説 大学院生活

この記事にたどり着いたあなたは、大学院に進学するか、企業に就職するか、どちらか悩んでいるのではないでしょうか?

大学院生活も就職も、どちらも経験したことがないと、なおさら決め難いですよね。
特に、大学院生ってあんまり身近にいなくてイメージ湧きにくいですし…。

私も、大学院に進学する時に、めちゃくちゃ真剣に悩みました。

そこで今回は、社会人経験ありの現役院生の私が、あなたのモヤモヤとお悩み解決のお手伝いをします。

この記事を読めば、

  • 大学院って実際どんなことするの?
  • どんな人が大学院で勉強しているの?
  • 大学院に行くメリットとデメリットって何?
  • どんな人が大学院進学に向いている? 

そんな疑問を解決することができます。

さぁ、あなたの心のモヤモヤをすっきりさせましょう!!

なお、私は文系大学院生なので、理系についてはまた勝手が違うかもしれません。
その点、ご了承ください。

1. そもそも大学院ってどんなところ?

大学院進学を考える前に、そもそも大学院について知っておきましょう。

大学院ってどんなところ?

簡単に言うと、大学院とは大学で身につけた知識を活かして、それをさらに発展させ、踏み込んだ研究を行う学術機関のことだよ。

専門分野のプロである教授がいて、彼らから直接指導を受けられるので、専門分野に関する知識がより高められます。

一般教養なども含め、広く知識を身につけた大学の時よりも、より自分の専門分野に特化した研究ができるのが特徴です。

大学院って、修士課程とか博士課程があるって聞いたけど、それって何なの?

修士課程は主に、自分の専攻する分野に関わる知識を広く深く身に付けること、研究分野における研究能力を高めることが目的だとされているよ。

一方で博士課程は、研究分野に関わる知識をさらに深め、研究能力に磨きをかけること、自分の専門分野において、自立した研究者として研究活動を行うことが目的だとされているよ。

平均修業年数は、修士課程の場合は2年、博士課程の場合は3年です。

でも、特に博士課程は、文系の場合は3年ではなかなか卒業できないのが現状です。

専門分野にもよるもしれませんが、私の指導教授は、3年で博士課程を終えられる人はほぼいないとおっしゃっていました…。

文系博士課程の場合は、博士号を取得して卒業できるまでに、7-8年かかる人もいるって聞いたよ。

2. 具体的に、何をするの?

勉強している学生の写真

2-1. 授業は少人数でゼミ形式 積極参加が求められる

授業を受けて、学期末にレポートや課題を提出する、という基本的なスタンスは大学の時とほぼ変わりません。

ただ、詳しくみてみると、以下の3つの点で大きく違います。

  • 授業が、ほぼ全てゼミのスタイル。
  • 授業の予習は必須。課題も多い。
  • 授業への積極的な参加が求められる。

それぞれ説明すると…

  • 授業が、全てゼミのスタイル。
    →先生が講義してメモをとる、という受け身のスタイルではなく、ディスカッションや発表メインの授業。
  • 授業の予習は必須。課題も多い。
    →授業前課題は、ほぼ全ての授業で課されます。
     「来週までに、〇〇ページまで読んできてね」とか、「プレゼン準備よろしくね」とか。
     それから、小レポートのような感じで、課題を課されることも多いです。
  • 授業への積極的な参加が求められる。
    →院の授業は、先生主導というよりも、学生主導で進められるものが多いという印象です。
     先生は基本的に、学生が行き詰まった時にフォローしたり、補足説明をしたりするだけだったりします。
     なので、ある事柄について自分の意見を述べたり経験を話したり、学生は積極的に発言することが求められます。

ほぉ…まとめると、授業は少人数のゼミ型で、意見交換をしたりプレゼンをしたりしながら自分の専門分野に関する知識をより深めるという感じだね。

うんうん、それから、自分の意見を述べたりディスカッションしたりするから、今まで詰め込んだ知識を総動員して、物事を様々な方向から分析したり批判的に考えたりする力も養えると思うよ。

2-2. 学位取得に必須な、論文執筆

院生は、授業に出たり課題をこなしたりする以外に、もう1つやらなければならない大事なことがあります。

それが、論文の執筆です。

修士課程なら修士論文、博士課程なら博士論文だよね。

そうそう、その論文執筆のために、院生は少しずつ色々な準備を進めていくよ。

皆さんも、卒論を書く時に経験されたかもしれませんが、大まかにやることとしては、こんな感じです。(研究分野や指導教官などによって、多少違いがあるかもしれません。)

  1. 興味のある分野から、だいたいのテーマを絞り込む
  2. テーマに関わる先行研究(論文や本など)を読み込む
  3. 先行研究の結果を考慮して、自分の研究テーマを決める
  4. 研究計画書を作成し、審査を受ける
  5. 実際に論文のドラフトを書く (文系でも実験をする場合は、ここにもう少し作業が加わります)
  6. 担当教授にドラフトをみてもらって、アドバイスをいただく
  7. 教授からのアドバイスを踏まえ、論文を練り直す (←この作業、結構心折れます笑)
  8. 審査に無事通れば、晴れて学位取得

おぉ、だいぶ大変そうだぞ…

うん、そうね笑
でも、修士論文は博士論文を書くよりもずっとずっと楽だよ。

私個人の経験と、周りの院生の友達から聞いた話からすると、修士論文は一生懸命真剣に取り組めば、なんとかなると思うよ。

私も、修士論文を書き上げるまでにだいぶ苦心しましたが、書き上げた時はやりきったという充実感を感じました!!

3. 大学院には、どんな人がいるの?

大学院には、どんな人がいるのかな?

修士課程と博士課程とでは、在籍している学生の特徴が違うなという感じがするよ。

まず、修士課程は自分の興味のある分野について、もっと勉強してみたい、幅広い知識を身に付けたい、って思う人が来ています
修士課程で勉強した内容について、卒業後も研究をしたり関連した職業についたり、というわけではない人も多いと思います。

しかし一方で、博士課程には将来研究者や学者として生計を立てていこうと思っている人がほとんどでしょう。

4. 大学院進学のメリット

大学院に進学するメリットを教えてほしいな。

うん、ここからが今日の本題だね。
私の経験や周りの話から考えて、大きく以下の4つがメリットだと思うよ。

【大学院に進学するメリット】

  1. 社会で役立つスキルや専門的な知識が身につく。
  2. 普段はなかなか覗けないアカデミックの世界を知ることができる。
  3. 自分の適性や好き嫌いに気づける。
  4. 大学院の卒業後に企業に就職した場合、初任給が少し高くなる。

4.1. 社会で役立つスキルや専門的な知識が身につく

大学院に進学すればもちろん、自分の専門分野に関わる知識を深めることができます。
大学にいた時よりも専門領域の知識の幅が広がり、深さもかなり深くなります。

私は大学院に進学して、「院の勉強こそ、本物の学問なんじゃないかなぁ」ってちょっと思ったよ。
まぁそれは、私が大学でサボってただけかもしれないんだけどね…笑

また、大学院では知識の習得だけでなく、社会で役立つスキルも身につけることができます。

え? 大学院で、社会で役立つスキルが身につくの?

うん、例えば、
課題解決能力、自己管理能力、プレゼン能力、物事を批判的に考える能力
とかが身につくよ。

それぞれどのように身に付けられるかというと、例えばこんな場面かな。

  • 課題解決能力 ← 先行研究を読み込んで課題は何かを見定め、
             それを解決する方法を探る
  • 自己管理能力 ← 課題やレポート、論文の投稿締め切り期限を
             気にしながら、それらを期限内に終わらせるための
             計画を練る
  • プレゼン能力 ← ゼミ形式の授業で、頻繁にプレゼンをしたり
             意見を述べたりする
  • 物事を批判的に考える能力 ← 先行研究や理論について、本当にそれが
                   正しいかを考察する

ほほぉ…ということは、自分の専門分野の知識を学びながら、社会人として働く時に役立つスキルも少しずつ身につけられるってことなんだね。

4.2. 普段はなかなか覗けないアカデミックの世界を知ることができる

アカデミックの世界は、1度社会人になってしまうとなかなか覗けるものではありません。

大学院に入学して、実際に教授のもとでみっちり勉強したり研究したり、論文を書いたりすることによって

  • 研究とはどういうものなのか
  • 論文を書いたり投稿したりして、世の中にそれが認められるとは、
    どういうことなのか
  • 学会ってどんなところなのか
  • 教授ってどんな仕事をしているのか

などが見えてくると思います。

知っているようで意外と知らない、アカデミックの世界に足を踏み入れて自分の肌で経験すると、視野や世界が広がるかもしれません。

私も、大学院に入学して初めて研究や論文のこと、様々な研究機関のことなどを知って、「社会勉強」になったなって思っているよ。

4.3. 自分の適性や好き嫌いに気づける

自分がどんな仕事が好きなのか、どんな仕事があっているのかがはっきりわかっている人は、そう多くないのではないでしょうか。

私自身も今でも仕事選びに悩んでいますし(もういい歳なのに…笑)、就職活動の時は、「なんとなく興味があるから」とか「やってみたいから」という理由で就職する業界や企業選びをしていたように思います。

でも、私は実際に就職してみて、自分のやりたいことと向いていることは違う場合も多いのではないかと気づきました。

そう感じたことがある人も、いるのではないでしょうか?

分かりやすい例を出すと、

  • お菓子作りがすごく上手で仕事にしたいけど、対人が苦手だし無愛想だから、ケーキ屋さんで働くのは向いていない
  • 文章を書くのが大好きだし得意だけど、スピード感を持ってできないから、速さが求められる報道関係の会社では評価されない 

自分が好きでやりたいって思っても、いざやってみてうまくいかないと、かなり落ち込むよね。

でも、どんな人にも自分の個性や持ち味を出せる場所があると思うよ。

そんな自分の場所探しにとても良いのが、大学院です。
大学院は自分の興味のある分野について研究したり発表したり、インプットもアウトプットも行う場所なので、自分の適性に気づくきっかけがたくさん散らばっているところだと思います。

例えば、

  • 先行研究を集めて、解決済みの問題と、未解決の課題を見極めるのが得意
     → 膨大な資料を踏まえ、分析能力が求められる仕事が向いている
  • 人前で発表するのはあまり得意じゃないけど、コツコツ文章を書くのが得意
     → 自分のペースで表現豊かな文章を書く仕事が向いている
  • 自分や人の研究を、誰かに伝えるのが上手
     → 対人交渉やプレゼン力が求められる仕事が向いている    など

ちなみに、あの有名な日テレの桝アナウンサーは、生物が大好きで理系の大学院に通っていたんだって。
でも、大学院で勉強する中で自分の「伝える力」が武器になると気づいて、方向転換したみたいだよ。

あと、大学院で勉強していると、向き不向きだけじゃなく、単純に自分の好き嫌いもわかってくると思います。

例えば、

  • 文章を書くのはあまり好きじゃないし、苦手だ
  • パソコンの前でずっと座っているより、体を動かす仕事がしたい
  • 人とする仕事よりも、自分のペースでできるような仕事の方が心が楽だ  とか。

大学院に通っていて、自分の適性や好き嫌いに気づくってちょっと意外って思うかもしれないね。
でも、私自身実際そうだったし、進路で悩んでる大学院の友達を見てても、大学院での経験を踏まえて軌道修正している友達も多いよ

4.4. 大学院の卒業後に企業に就職した場合、初任給が少し高くなる

厚生労働省による「令和元年賃金構造基本統計調査結果(初任給)の概況」では、大学学部卒と大学院の修士課程を修了した人の初任給が発表されています。

  • 大学学部卒      → 21万200円
  • 大学院の修士課程修了 → 23万8,900円

つまり、大学院修士課程修了の人は大学卒の人よりも、初任給が約3万円高くなるってことだね。

5. 大学院進学のデメリット

じゃぁ逆に、大学院に進学するデメリットってあるのかな?

うん、そうだね。
主に下の3つが、デメリットかな。

【大学院に進学するデメリット】

  1. 金銭的に負荷がかかる
  2. 社会人になるのが遅れる
  3. 社会的に少し肩身の狭い思いをすることがある

5.1. 金銭的に負荷がかかる

金銭的な負荷とは、大学院の学費と、大学院に行っている間は(フルタイムで働くような)収入が得られないということです。
(博士課程になると、フルタイムや、フルタイムに近い形で働きながら研究を進めるという人もいます。)

【大学院の学費例 (入学金+授業料、2年間合計)】
国立大学院の場合:約130万円
私立大学院の場合:約180万円

※私立大学院の場合、大学や学部によって大きく変動します。
 文部科学省による「私立大学等の令和元年度入学者に係る学生納付金等調査結果について」
 もとに、目安を算出しました。

大学院の学費は結構な痛手だと思う人もいるかもしれませんが、奨学金制度を活用しながら通う人も多いです。
審査に通ると、学費を免除してもらえたり、納入期限を遅らせたりすることができます。

5.2. 社会人になるのが、遅れる

これは当たり前の話ですが、修士課程を卒業してから社会人になった場合、学部卒の人よりも社会人になるのが2年ほど遅れます。

これがデメリットになるかどうかは人それぞれかもしれませんが、社会に出て働かなければならない状況にいる人や、少しでも早く働きたい人にとってはデメリットとなるでしょう。

5.3. 社会的に、肩身の狭い思いをすることがある

これは、感じる人と感じない人、気にする人としない人がいるかもしれませんが、私も周りの院生も社会的に肩身が狭いことがあると言っています。

どういうことかというと…

  • 学部卒の同年代の友達は収入があるが、自分はまだ学生の身分。
    金銭的に厳しくて、飲み会に誘われても行けなかったりする。
  • 学生の身分だと生活が不安定で、結婚したくても結婚に踏み切れない。
  • 研究が忙しくて遊びに行けなかったりするが、周りの友達からはなかなか理解が得られない。
  • 経済的に自立できていない場合、家族や親戚などから就職へのプレッシャーを感じる

院生は将来のための「資産」を自分に詰め込んでいるのですし、院での勉強が自分の本当にやりたいことであれば、上記のようなことは感じない人もいるかもしれません。

それから、自分のやっていることに誇りを持っていれば、社会からのそういったプレッシャーや冷たさに落ち込むことはあまりないかもしれないとも思います。

でも、やっぱり周りからのサポートあっての自分なので、いくら強い心を持っていても周りからの理解が得られないと、肩身の狭い思いをしがちなんだよね

6. まとめ ー 大学院進学に向いている人はどんな人? ー

具体的にどんな人が大学院進学に向いているんだろう?

そうだね。一番気になるところだよね。
今までの話を踏まえて、下にまとめてみたよ。

【大学院進学に向いている人の特徴】

  • 大学での学びを活かして、知識を広げたり深めたりしてみたいと思う分野がある人
  • 研究そのものが好きで、楽しめる人
  • 実践よりも理論的に物事を捉え、論理的に物事を考えるのが好きな人
  • アカデミックの世界を覗いてみたい人
  • 将来研究者や学者になりたいと思っている人
  • 新しく物事を学んでみたい人(キャリアチェンジなど)
【大学院進学に向いていない人の特徴】

  • 勉強や研究があまり好きじゃない人
  • 今すぐ働きたいと思っている、または働かなければならない状況にある人
  • 興味のあることについて、理論よりも実践という形で関わりたい人

この記事では、大学院に行くメリット、デメリットについても説明しました。

【大学院に進学するメリット】

  1. 社会で役立つスキルや専門的な知識が身につく。
  2. 普段はなかなか覗けないアカデミックの世界を知ることができる。
  3. 自分の適性や好き嫌いに気づける。
  4. 大学院の卒業後に企業に就職した場合、初任給が少し高くなる。
【大学院に進学するデメリット】

  1. 金銭的に負荷がかかる
  2. 社会人になるのが遅れる
  3. 社会的に少し肩身の狭い思いをすることがある

大学院進学はメリットもあるし、デメリットもあります。

でも、長所は短所と言いますし、人によってメリットがデメリットになることもあります。
そして、その逆も然りです。

上述したことを参考に、自分の心に手を当てて、自分は大学院に進学したいのか、それとも違う道を行きたいのか、ゆっくり考えてみてください。

みなさんが、自分の居心地がいい「巣」で輝けるよう応援しているよ。

大学院や就職関連の話題は、今後も随時更新していきます。
またどうぞお立ち寄りください。

最後まで読んでくださり、ありがとうございました。

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